愛知県名古屋市
名古屋の家
名古屋市緑区にある三十度の傾斜をもった敷地で、高低差三メートルのところにひな壇がある。ひな壇の面積が十分といういわけでは無かったため斜面を造成して建築すること、単純な総二階建てのボリュームの建築も考えられたが、出来るだけ地形を崩さず元の地形にとけ込む事を考えていった。 ひな壇からは三分の一程度をキャンチレバーで跳ね出し、道路からの建物の高さを極力抑えていることで、地形に呼応した計画としている。 敷地の特徴の二つ目に十メートルほどの大きな桜が存在する。これらは近隣の住民の春の楽しみのひとつでもあり、地域では有名な桜として認知されているため、建築時には枝葉が随分厄介な存在ではあったが、極力原型をとどめる事を優先し、桜に対して背景となるような建築とした。 この住宅は内部的な玄関は設けず桜の木に接したテラスから入るようになっている。内部ではそれぞれが立体的につながり、光と陰が時とともにうつろう。
石川友博建築設計事務所
兵庫県西宮市