ほとんどの方がCMや映画館で目にした最近の邦画で、昭和34年の東京を舞台にしたALWAYSがヒットし、当時の風景を忠実に再現しているので30年代を知らない世代にも風景が印象強くのこってるかと思います。
その17年前、戦時中の昭和17年に建てられた建築に前川國男邸があります。前川國男邸は現在「江戸東京たてもの園」にあります。
建築をしている人なら当然その名を知る大御所建築家であります。
以前から東京に行ったおりには前川邸をみたいとおもっていました。
今回はその望みを果たすべく打合せを済ませあとに、武蔵小金井にある「江戸東京たてもの園」へ急行。
電車、バスを乗り継ぎたどり着いたはいいが、閉園10分前。警備員に止められ、「まもなく閉園です」といわれるが、なんの制止を振り切り目的の前川國男邸へ。
落ち着いた切り妻の外観、大谷石のアプローチと塀が出迎えます。外観にみとれながらあわてて中へ。
その絶妙な空間のスケールには驚嘆です。
昭和17年、戦時下であった日本で建築を作るのは資材的にも大変困難であったと推測されます。
それであって、素材の質感、低すぎず高すぎず追求されたヒューマンスケール、ディテールが集積してなんとも心地良い。これが昭和17年の建築とは...
平日の閉園間近なので人はいません。静寂な時間が流れます。
「閉園時間です。まだ...」とアナウンスがながれ、警備員にせかされながらパシャパシャと写真をとってお別れです。
写真や図面だけではつたわらないものがそこにはありました。
良いものは時代を経てもいい!
使われて時を経てさらに良くなるもの
一時の目新しさやきれいさにとらわれないものを
手がけたいものだと再認識させられます。
ISHIKAWA